まあ、食ってしまいたいくらいには。








ザ、ザザ……──



『え?……ああ~、あのときダメって言ったのは、血がダメだってことです』

『ほら、人の血って触らないほうがいいって言うじゃないですか』

『ましてや舐めるのなんて衛生的にも問題ありそうだし、わたしもさすがにちょっと抵抗あったし……だから、こっちだよ~って、なんで睨むんですか』


『え、ほんとに食ったらどうするつもりだったか、って?』

『そんなの死人に口なし……って、そういうことじゃないんですよね』

『うーん、考えてなかったです。先輩を信じてたから』


『理性がとんでたのは、わかってた。でもそれは信じないことの理由になりますか?』






ザザッ……──



『……いや、まあ、そうですね。たしかに先輩が最後まで理性を失ったままだったらお陀仏でしたけど。わたしだってこんなこと先輩たち以外にはさせませんよ』

『それに確証もありましたし。わたし、触れあっただけで満足するようにできてるらしくて』

『はい……どこでそんなことを知ったか? ああ、言ってませんでしたっけ』

『小さい頃フォークといたことあるんですよね。…………や、だから』






ザザ……ザザッ……────






『6年間、フォークと一緒にいたことがあるんです。
……はい。ずっと。ふたりだけで』





──────……プツン。




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