丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
ガシャーーーン!!と店内に、カップが割れる音が響く。

鈴嶺「━━━━っい…!!!」
杏樹「鈴嶺!!?」

「「「鈴嶺!!」」」

スープを持ってきた店員の手が滑り、鈴嶺の腕に落としたのだ。

鈴嶺「……ったい…」
杏樹「鈴嶺!!触っちゃダメ!ちょっとごめん!!」

すかさず杏樹が、腕の服を引き裂いた。
鈴嶺の腕は、真っ赤に腫れていた。
おしぼりで、鈴嶺の腕を優しく当てる。

ただならぬ事態に、店員はおろおろしている。

杏樹「ごめんね、鈴嶺。
服に貼り付いたら大変だから」

「とにかく、病院に!!」

杏樹「そうね!誰か、凱吾に電━━━━━」
鈴嶺「やめて!!」

杏樹「鈴嶺?」
鈴嶺「お願い!凱くんには、言わないで!」

杏樹「は?何言ってんの?こんなの、凱吾にバレないわけないでしょ!?」
鈴嶺「でも、凱くんに知られたら……」

杏樹「………はぁ…とりあえず、佐木さんに連絡するわ」

杏樹の連絡を受け、佐木が店内に駆けつけてくる。
佐木「お嬢様!!!
これは……酷いな…
とにかく、病院に行きましょう」

鈴嶺「お願い、凱くんに言わないで」
佐木「お嬢様、それはできません。
隠したりしたら、余計に凱吾様を怒らせてしまいます。
…………杏樹様、凱吾様に連絡していただけますか?
紀信様の病院に連れていきます」

杏樹「わかった!」


━━━━━━そして紀信の病院に、凱吾、宗匠、紀信が駆けつけてきた。

凱吾「杏樹!!鈴嶺は!!?」
宗匠「ヤケドって、どうゆうことだよ!?」
紀信「大丈夫なの!!?」

杏樹「うん。今、処置中。
佐木さんが、店に話に行ってるわ」

凱吾「は?僕が行く。
鈴嶺の処置が終わったら、鈴嶺を連れて話をつけに行く」


佐木「その必要は、ありません!」

宗匠「佐木?」
紀信「佐木さん…」

凱吾「どうゆう意味だ?」
凱吾が、佐木を恐ろしい形相で睨み付けた。

佐木「私が、店と話をつけました。
きちんと、対応していただきました。
問題ありません」
凱吾の、絶対零度の冷たい表情。
佐木は内心震えていたが、決して目を逸らさず言った。

凱吾「どんな対応を?」

佐木「お食事代はなし。
お洋服と治療費を負担。
それで、十分です」

凱吾「何を言ってる?
鈴嶺は“ヤケド”したんだ!
鈴嶺の綺麗な肌を傷つけた!
同じ目に遭わせてやる!」

佐木「凱吾様」

凱吾「何だ」


佐木「“鈴嶺お嬢様のお気持ち”をくんでください」
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