丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾は、鈴嶺に頼まれると断れない。
基本的には“何でも”受け入れてしまうのだ。


鈴嶺「ご飯できたよ~」
凱吾「ありがとう!顔洗ってくる!」
宗匠「俺もー」

凱吾と宗匠が戻ってきて、三人で朝食をとる。

鈴嶺「……どう…かな?」

凱吾「ん。美味しいよ!」
宗匠「でもなんか…ちょっと辛くね?」

凱吾「は?」
宗匠「凱吾、正直に言ってやれよ!
鈴の為になるんだから!」

鈴嶺「凱くん、はっきり言ってくれて構わないよ?
私、凱くんに心から“美味しい”って言ってもらいたい!」

凱吾「………少し…辛いかな?濃いというか…」

鈴嶺「お醤油、入れすぎたかな…」

宗匠「鈴。この玉子焼は甘過ぎ!」

鈴嶺「え?そう?
玉子焼は、甘いのが美味しいよ?」

凱吾「鈴嶺、でも甘過ぎだよ。
お菓子みたいになってる」

鈴嶺「そっかー、わかった!
あ!ちょっと待って!メモとるから!」

宗匠「つか!凱吾が作れば?
凱吾の料理旨いし!」

鈴嶺「それはダメ!!」
宗匠「なんで?」

鈴嶺「私、凱くんの奥さんだもん!
家事は、私のお仕事だもん!
これでも、最初よりは上手くなったんだよ?」
凱吾「宗匠、あんま言うなら二度と家に入れないよ!
鈴嶺、毎日頑張ってるんだ!」

宗匠「へいへい!悪かった」

凱吾「鈴嶺、味噌汁は美味しいよ!
上手くなったね!」
宗匠「ん!味噌汁は旨い!具も色々入っていいな!」

鈴嶺「ほんと!?良かった!」
心底嬉しそうに微笑む鈴嶺に、凱吾と宗匠も微笑むのだった。


宗匠「じゃあ、ありがとな!」
凱吾「鈴嶺。行ってくるね!」
鈴嶺の頬にキスをした。

鈴嶺「うん…早く、帰って来てね」
凱吾のジャケットを掴み、見上げる。

凱吾「うん。何かあったら、すぐ連絡しておいで?」
頭をポンポンと撫で微笑む。

二人は、出ていった。
鈴嶺「はぁー、行っちゃった……」


そしてエレベーター内。
宗匠「いつもあんななの?鈴」
凱吾「は?」

宗匠「“早く、帰って来てね”ってやつ」
鈴嶺がしたように、凱吾のジャケットを掴み言う。
凱吾「………宗匠がすると気色悪い。
でも、そうだよ。
可愛いだろ?」

宗匠「まぁ、可愛いが…大変だな」
凱吾「そう?
僕は、嬉しい。
僕に依存してくれてるみたいで、幸せ」

宗匠「あ、そう…」
苦笑いの宗匠だった。
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