丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
それから、デリバリーを頼み食事を始めた一行。

鈴嶺「みんな、ごめんね。
結局、ピザになっちゃった……」
杏樹「フフ…今度、お料理教えてあげる!」
鈴嶺「うん!」

宗匠「鈴、実家の家政婦に料理習ってきたんじゃねぇの?」
鈴嶺「うん、そうなんだけど……
上手くできないの……」

紀信「でもこのスープ、凄く美味しい!」
鈴嶺「ほんと!?」
紀信「うん!具だくさんで、美味しい!」
杏樹「ほんと、美味しい!」
宗匠「旨い!」

鈴嶺「フフ…凱くん、美味しいって言ってもらえたー」
凱吾「良かったね!
でも、ほんと美味しいよ!」
嬉しそうに笑う鈴嶺に、凱吾も微笑み頭を撫でた。

杏樹「………フフ…ほんと凱吾、鈴嶺には優しく笑うのね!」

凱吾「は?」

紀信「確かに!凱吾が、鈴嶺以外にそんな笑顔見せるとこ、見たとこない」

凱吾「当たり前だ!
僕は、鈴嶺しかいらない」

宗匠「フッ…まぁ、紀信もだぞ!」

紀信「え?」

宗匠「紀信も、鈴に対しては明らかに表情が違う」

紀信「そう…かな?」

杏樹「そうね!」

凱吾「だから僕は、警戒して牽制してる」


紀信「…………
……大丈夫だよ?」
少し、切なく笑った紀信。

鈴嶺「紀信くん?」
凱吾・宗匠「紀信?」
杏樹「どうしたの?」



紀信「僕……お見合い…するんだ……」
ポツリと呟いた、紀信。

凱吾達は、驚いた顔で紀信を見る。

宗匠「なんで?」
紀信「隣町の病院の院長の娘さんなんだけど、なんか…僕のことを気に入ったとかで……」
杏樹「へぇーそう…」

鈴嶺「お見合いか…」
凱吾「嫌な響きだな」
宗匠「だな」

杏樹「そうよね。
三人にとっては、嫌な響きよね……」

凱吾・鈴嶺・宗匠にとっては“見合い”は嫌な思い出しかない。

羽柴・宝正・不破は、昔から三大財閥と言われる程、高貴な財閥だ。

三人は、学生の頃からよく見合いをさせられていた。
高校生の頃からよくパーティーに連れ出され、色んな人間に無理矢理会わせられる。
成人してからは、特に酷くなった。

凱吾と鈴嶺は、恋人同士なのに見合いをさせられていたのだ。


紀信「もちろん、断るつもりだけど……
なんだか、気が重くて……」

杏樹「でも、会ってみたら違うかもよ?」
紀信「そうかな?」

杏樹「そんなの、わからないわ!
いつ、どんな素敵な出逢いがあるかわからない。
……………私は、そう思って過ごしてる」
紀信「そうだよね!ありがとう!」

鈴嶺「杏ちゃん、カッコいい~!」
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