丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾「早く消えろ、クズ。
これ以上鈴嶺に汚ないものを見せるな」
そして、突き飛ばした。

鈴嶺の方に向かい、微笑む。
まるで別人のように…………いや、もはや別人だ。

一瞬で柔らかく、甘くなった凱吾の雰囲気。

店内が、騒然となる程に。

凱吾「鈴嶺。すぐ行くから、外で待ってて?
鈴嶺が言ってたプリン買ったから、帰って食べよ?」
頭をゆっくり撫でた。

鈴嶺「でも、凱くんが傷つけられるの嫌!」

凱吾「フフ…僕を傷つけられる人間は、この世で一人だけ。
こいつ等には無理だよ?
だから、大丈夫!
ね?外出てて?
鈴嶺が、こんな汚ないとこにいる方が僕は傷つく」

鈴嶺「う、うん…
早く来てね……」

鈴嶺が佐木を連れ、店を出ていく。


それを見届けて、また凱吾の雰囲気が落ちた。

「お前…ただですむと思うなよ……!!」

突き飛ばされた男が立ち上がりながら、凱吾を見据える。

凱吾「は?それは、僕のセリフだクズ」

そう言った凱吾は、男達二人の鞄を何の躊躇もなく漁った。

「ちょっ…お前…何を…!!!?」

そして財布から、免許証を取り出した。
その写真を撮り、住江に電話をかけた。

凱吾「今から送る輩のことを調べろ。
…………あぁ。あぁ、そうだ」

そして、店長に言う。
凱吾「店長、プリンは?」

「あ、は、はい!こちらに……」

凱吾「あとこれ。
会計しろ!僕達の席の分一緒でいいから」
クレジットカードを渡す。

「はい!」


宗匠「凱吾、今の電話ってさ」

凱吾「あ?あぁ」

紀信「え?まさか………!!!?」

雷太「え?え?何なの?」

凱吾「………」

束茶「凱吾?」

凱吾「だって、いらないだろ?こんなクズ」

雷太・束茶「え?え?」

「お前、何を…!!?」
「勝手に写真撮って何してんだ!!?」

凱吾「明日わかる。
僕の秘書は優秀だからな」


そして店長から、プリンとカードが戻ってきて凱吾達は外に出た。

凱吾「じゃあ、僕はここで」

雷太「凱吾!」
凱吾「何だ?」
束茶「さっきの男達、どうなるの?」

凱吾「二人は知らない方がいい」

そう言って凱吾は、店の前に止まっていた佐木の車に乗り込んだ。
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