本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「好きになっちゃいけないって思ってたの」
「……」
それは、今の由麻と似た心境だった。
「だって、結局は決められた相手と結婚するんだもん。好きになるだけ時間の無駄だって思ってたんだよね」
由麻が考えていることと全く同じだった。
愛美も同じように悩んでいたなど全く知らなかった由麻は、驚いて言葉を発することができない。
「私達のケースは多分珍しいとは思うんだけどさ。
やっぱり由麻には、後悔してほしくないから」
愛美の言葉にゆっくりと頷く。
「でも別に、和音さんは私のことなんてどうも思ってないだろうし……」
「何言ってんの。あの人はね、何とも思ってない人にキスするような軽い男じゃないよ。病的な方向音痴だしポンコツだけど、根は真面目だし。私が言うのもアレだけど、女性関係に関しては全く心配ない男だよ」
「……」
愛美のお兄さんだから、そういうことを疑いたくはないと思っている由麻。でも、だからといって「はいそうですか」とすぐに信用できるわけもない。
だってあんなにいとも簡単にキスしてきた男だ。
由麻が警戒するのも無理はない。
「……由麻」
「……」
「うちのお兄ちゃんはね、あんまり女性の話しないの」
「……え?」
唐突な声に、困惑する。
「お兄ちゃんね、顔は良いから昔からそこそこモテるんだけど、あの極度の方向音痴がバレると、すぐに幻滅されちゃうの」
「……あぁ、なるほどね」
「お兄ちゃんのアレはもはや病気みたいなものだから多分ずっとあのままなの」
本人は至って真剣でも、今まで何度も馬鹿にされたりしてきたのだろう。
それでも、医者としての和音の才能は本物だ。