本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜


「由麻ちゃん」


「……和音さん」


「今日はお疲れ」



渡されたワイングラスを持ち、口に運ぶ。



「あっという間でした」


「そうだね」


「でも楽しかったです」


「うん」



式も披露宴も終わった夕暮れ時。


由麻はオーシャンビューのホテルの部屋のベランダから水平線上に沈む燃えるような夕日を眺めつつ、今日のことを思い返していた。


式が終わった後、フラワーシャワーで参列者に祝ってもらった二人。


その後和音が貸し切っていたクルーザーに乗って船上披露宴を開催した。


潮風を浴びながらの披露宴はとても開放的で、一生忘れられない一日を過ごすことができたと思う。



「……まさか、私がこんな幸せな結婚ができるなんて思ってもみませんでした」


「え?」


「和音さん。本当にありがとう」



隣に立った和音に、由麻は笑いかける。



「私、凄く幸せです」



言って、由麻は和音の腕をクイっと引く。


無防備だった和音はそのまま前のめりに倒れそうになるのを慌ててベランダの柵に捕まった。
と思ったら。


背伸びをした由麻が、そっとキスをする。


目を見開いた和音は、すぐにその細い腰をグッと引き寄せて。



「んっ……!?」



お返しと言わんばかりに甘い、甘いキスが何度も降りそそぐ。



「これからもっと幸せにするから。覚悟しといて?」



妖艶に笑った和音に、由麻は息を呑んだ。



「……これ以上幸せになったら、私死んじゃう……」


「ははっ、それは困るなあ」



一転してケラケラ笑い出した和音。その目紛しい表情の変化に胸の高鳴りが抑えられない。



「まぁ、大丈夫だよ」


「……え?」


「徐々に幸せ増量していくから」



そう言ってリップ音を鳴らしながらキスをする。



──まずは今夜から、ね?



耳元でそう囁いた和音が見た由麻の顔は真っ赤に染まっていて。


それは和音のキスのせいか、沈む夕日のせいか。


潮風に揺らされる木々の音と波の音だけが、辺りに響いていた。



End.

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