虹色のバラが咲く場所は

102話 公言します

思い出した翌日、急いで家に戻り部屋に入る
机の引き出しの中にあるものを端に寄せて
当時の新聞を引っ張り出す。
見出しだけで怖くて本文は見ていない。

今になってまた少し鮮明に思い出せる。
お葬式で傍観していた俺たちに近寄ってきたのは、30代半ばくらいの男の人。
少し離れたところに奥さんらしき人と
舞と同い年くらいの男の子。

新聞を目で追っていると、
「あっ、た」
蒼葉颯太、
「まじ、か」
いやたまたま同じ苗字なだけかもしれない。
でもたまたま同じ苗字でなおかつ同い年くらいの男の子がいる家庭ってそんなにない、
よな。
(本当でもそうじゃなくてもこのことは俺が
墓場までもっていこう)

ライブから翌日1人で本屋に行くと
とある月刊誌に雪希のことが載っていた。
すぐに月刊誌を手に取りパラパラ開くと
結構前に遊びに
来ていた男の子と一緒に歩いている写真。

その子の家に行った写真。
日付は布を買いに行った日。
すぐにそれを買って寮に走って帰る。
「みんな、これ見て!!」
私の慌ただしい音と声に3人はすぐに
出てきた。
そして月刊誌を見て真っ青になった。

「ど、どうしよう、僕のせいで」
その時、類のスマホが鳴り
「杏奈さんだ。・・・はい、・・・はい、
わかりました、すみませんでした。
失礼します。」   
電話を切り私たちの方を見る
「明日、雪希だけ事務所に来てって。
千鶴さんが車で迎えに来るからそれまで寮から出るなって」
「ごめ、」
「気にしなくていいよ、どうせすぐに
沈静化するんだから」
謝ろうとした雪希を遮り類はソファに座った
「うん、」

ー翌日ー
千鶴さんの車で事務所に行くと、
「思い切って打ち明けた方が
いいんじゃないかな?」
と七瀬さんに言われた。
「え、」
「もちろん、批判の声もあると思う。
でも逆に賛成の声もあるかもしれない。
批判されても前に進める理由がある。
それを雪希くんは分かっているだろ?」
(僕が僕でいられる理由。それはもちろん
ばあちゃんたちや舞たち、辺里くんや
宮本くん、それに杏奈さんたちが
いるから。)
「・・・わかりました。公言します」

その翌日、打ち合わせをして数日後。
ライブ以外の初のテレビ出演が1人って
心細いな。
しかも何故かバラエティー。
バラエティーとはしっても司会者の方との
対談だ。
「こんにちは、本日のゲストはアイドル
グループRainbow Roseの1人、
雪希さんです。」
「よろしくお願いします」

司会者の説明に頭を下げる。
「さっそくだけど月刊誌に大きく載った
雪希さん、彼とはどんな関係で?」
「関係、彼とは友達です。」
「そうですか、でも今だけかもしれませんよ。一緒にいる時間が長くなるにつれ特別
な感情が生まれるかもしれません。」
司会者は少し嬉しそうだった。
「それはありません。」
困惑するのも無理はない、見た目は完璧に
女の子だから。深呼吸をして
「僕、実は男です。」
< 102 / 267 >

この作品をシェア

pagetop