虹色のバラが咲く場所は

119話 不安になる

僕が学校に行くと教室がざわついていた。
「え、宮本、くん?」
宮本く、宮本さんは女生徒の制服を着ていて
髪が肩にかかっていて何度も色々な先生に
髪を切れと言われても忘れた、と言って 
切ってなかったのを後ろで束ねている。

「あ、おはよう、雪希くん」
「おはよう、宮本さん、えっと」
「昼休みにまとめて話すね」
「うん」
他にもクラスメイトが入ってくるたびに
驚いていたが、先生だけが普通だった。
(先生は宮本さんの性別知ってたんだな)
「おはよう、雪希、宮本さん」
あまりに変わらない対応に驚く
「おはよう、辺里くん、
なんか反応、ないの?」
「宮本さんの性別は知ってたよ」
「なんで?」
「あの時、盗み聞きしてたから」
「盗み聞き!?」
サラリとすごいことを言ったな。

「うん、それよりも思い切ったな、宮本」
「すごいよね、宮本さん」
「それは雪希もだろ、」
「そう?」
「そうだろ、周りからどんな意見がくるか
わからないのに自分の性別を公言するって。想像しかできないけど俺は怖くてできないと思う。」
「そんなことないよ、宮本さんは戻っただけだよ。なりたい自分に。」
「雪希?」
辺里くんは察したのか、名前を呼ぶ。

でもここでチャイムがなって、
朝の読書に入る。
1時間目の休み時間にさっきの続きを話す
「いつかやめないといけない時がくるって
分かってる。宮本さんには自分の好きを貫けるんだって言ったけど本当は怖いんだ。
来年かもしれないし、再来年かもしれないし
もっと先で、好きを貫けなくなったら
どうしようって。この格好をやめたとしても息苦しくて、でも女装をするのも怖くなったらどうしようって。
どっちが本当の自分かわからなくなったら
どうしようって、すごい不安になる。」
続きとは言っても不安だ。

(不思議、舞たちには話せないのに辺里くん
には話せちゃう、なんでだろう)
「別に俺はどっちでもいい」
椅子に座って吐露する僕に向かい合わせで
机に肘を組んで膝立ちしている辺里くんは
なんてことないように答えた。
「俺は雪希が、宮本がどんな姿になっても
受け入れるし友達には変わらない。
見た目は変わっても、内面はそう簡単に
変わらないだろ」

その言葉は未完成のパズルのピースが
空いているところにピタリとハマった気が
した。
欲しい言葉をさも当然というようにくれた
辺里くんに驚きながらも嬉しくなる。
同時に
(イケメンすぎる、)
とも思った
「ありがとう、辺里くん」

「あのさ、2人とも今いい?」
「宮本さん」
「どうした、宮本」
宮本さんの突拍子は相変わらず健在で
安心した
「私、制服以外は全部、男物でさ。
今度の休みとか、見繕って欲しいなって
思ってるんだけど」
はにかみながら言った宮本さんは本当に
女の子みたいで。
「今度、か。ごめんしばらく忙しくて、
僕は無理かな。」
「俺はいつでも暇だけど」
「雪希くんが無理ならまた今度にするよ」
2人の視線が僕に移る。

「いや、いいよ。気にしないで。」
お互いを見て
「じゃあ2人で行くか」
「うん、早めに揃えたいし」
笑い合う2人に寂しさを感じる
(わがままだな、僕は)
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