虹色のバラが咲く場所は

130話 いらっしゃい

「あくまで仮説だけどあの人がそのつもりだったとしたら俺たちは
それを無視してライブにでた。」
「じゃあ、私たちの、自己責任・・・ってことになるのかな」

「思ったんだけどさ蓮がこの話をしてる時点でフラグになってない?」
「それは俺も思った。でも舞だって考えてたことでしょ?」
「まぁ、高校からは防犯グッズ
持ち歩くようにしよう」
「いや、まだ少し中学生活残ってるけど
・・・まぁいいか」

卒業シーズンが終わり数週間後。
梅原高校の制服を着た類と舞。
昇降口の掲示板でクラス分けの表を2人は
確認していた。
「いらっしゃい、2人とも」

「蓮、」
類は俺の顔をマジマジと見て
「な、なに」
「顔見知りが先輩って変な感じだなって
思って」
「ふーん、」
「類、立ち話はまた後で。
じゃあ蓮、私たちそろそろ行かないとだから」
「あ、うん」
類と舞を見送ってつぶやく
「頑張れ」

私は類と別れて1組の教室に入る。
黒板には新入生歓迎アートが施されていて、
右下に米印で席は自由と書いてあったから空いている窓側の席に座る。
(紗南とは方向性が違うから、高校別になっちゃった。
このクラスで知ってるのは鈴川さんと戸田
くんだけか)

しばらくして体育館に移動して入学式が行われた。
在校生代表の挨拶は蓮から聞いていた
暁先輩。
(ナルシストって聞いてたけど、やる時はやる人なのかな。
なんかカリスマ性が高そう)

「麻倉 拓実(あさくら たくみ)」
新入生代表の挨拶は同じクラスにいたような気がした男子。
(なんかザ・優等生って感じ)

麻倉くんの挨拶が終わり、滞りなく式は進み
閉式後。

教室に戻り自己紹介をして、先生の長い話を
聞いて教科書やその他諸々を配布されて
今日は解散になった。

類と合流して帰ろうと思ったら案の定
つかまった。
「ねぇ、日比谷さん今のうちにサイン
ちょうだい?
もっと有名になったらほぼ無名時代の
プレミアものとして高くつくでしょ?」
(誰が無名時代だって。
てか売る気満々じゃん。
というかほぼ初対面の人によくズケズケと。
すごい失礼じゃない?)
「あ、えっと、」

「ねぇ、他に芸能人に会ったことあるの?
もしよかったらなんだけど、俺○○って人が好きなんだ。あったらサイン貰っといてよ」
遮られたと思ったら今度は別の要求。

周りには可哀想だよ、やめときなよ、
とざわめいているけど助けてくれる
兆しはない。
(どうしよう、振り切ったら今後に
響きそうだしな)

「ねぇ、ま、日比谷さん、先生が日比谷さんに用事があるみたいで。職員室に
来てくれって」
「戸田くん、わかった。じゃあまた明日」 
(助け舟、・・・?いや、
本当に呼んでたのかもしれないし)

職員室に行く途中、ちょうど先生に会えたから聞いたが、用はないと言われた。 
(明日、お礼言おう)


(類と一緒に帰ろうと思ったけど
まぁいいか)
職員室から教室に戻るのも面倒だから
やめた。

(高校は家から歩いて通える距離にあって
よかった)
携帯の電源を入れると、翔からメールが
入っていた。
邪魔にならないように隅に移動してメールを確認する
「舞、入学おめでとう!
入学祝いなにが欲しい?」
と簡潔に綴られているが、翔がすごく笑顔で
明るい声が脳内再生された。
(多分、誕生日は別で考えてって思ってるんだろうな。
たった1ヶ月だから一緒でもいいんだけど)

また通知が入り
「もちろん誕生日は別だからね」
追加のメールに呆れる。
(なんかわかっちゃうのが恥ずかしくなって
くる。ていうか翔、暇なの?)
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