虹色のバラが咲く場所は

164話 封筒

土曜日、類と雪希が先に出て行って、
しばらくしてそろそろ行こうと思い
封筒と財布、スマホを小さなバックに
入れて部屋を出ると制服姿の舞と
会った。
「どっか出かけるの?」
「うん、まぁ」
舞は珍しく落ち着きがなかった。

「どうした?」
「いや、なんでもないよ。あ、私もう
行かないと!じゃあ」
急いでいたのか小走りで階段を 
駆け降りる。
(避けられた気がするのは気のせい?)

○△カフェを調べると川桜学園の近く だった。
電車に乗り最寄り駅で降りた。
川桜学園の前の道を通る時、ふと
銘板が視界に入った。 
運動会らしくアナウンス、音楽、
ピストルの音が聞こえる。
(うちも来週だから頑張ろう)

改めて見ると外壁がずっと先まで
続いている。
(在学中は気にしなかったけど広いんだな。小中一貫だから当たり前だけど。
今ここから昇降口に行くまで遠く
感じるんだろうな)
不思議と笑みが溢れる。

すぐ近くの横断歩道を渡って、
カフェまで急ぐ。

カフェ前の少し離れた場所にあるベンチにひとりの女の子が座っていた。
近づくと彼女の方が気づいて
「あの、高坂蓮さん、ですか?」
「あ、うん。手紙をくれたのって」
「私です。無事に届いて良かったです」
彼女はニコリと微笑み店内へ移動した。

席についてまず注文してしてから
ゆっくり話そうともちかけ
メニューを開く。
「何に、しますか?」
妙に緊張して敬語になる。
「そうですね」
彼女は真剣にメニューを見て決めた。

俺も全体に目を通して注文した。
「レモンスカッシュとプリンパフェを」
「コーヒーとアップルパイを
お願いします」
店員さんが去ってからしばらく沈黙
だったが

「改めて高坂茉里です」
「あ、高坂蓮です」
「早速ですけど、封筒を持ってきて
くれましたか?」
「あ、はい」
言われた通りバックから封筒を取り出す

「もしかして開けてないんですか?」
「え、はい。開けたら何かが終わって
しまう気がして」

彼女はバックから濃いピンクでラメの
入ったプラスチックの小さな箱を
取り出す。
よく見ると鍵穴が付いていた。
「それは?」
「その封筒にはこれを開ける鍵が入っています。あの時の思いつきがこんな役に立つなんて。
人生、何があるかわかりませんね」
静かにこぼした。

封筒を開けると、箱と同じプラスチックの鍵が入っていた。
「これが開けば私があなたの妹、
高坂茉里だという証拠になると
思います」
凛とした声とキリッとした表情。

緊張しながら鍵を刺すと回って、
箱が空いた。
「プラスチックは壊れやすいですが
錆びることはないので良かったです」 
箱の中には、幼い茉里が描いたであろう
絵が入っていた。
でも破られていた。
「どうして破れているの?」
「もう片方はあなたが持っています」
封筒に入っている紙を取り出すと
もう半分とぴったり重なった。

「これでわかって頂けましたか?」
「十分すぎるくらいわかった。」
わかったと言いながらもまだ頭は
追いついていない。

注文したものが運ばれてきていったん
中断。
アップルパイを半分くらい食べた頃
茉里のプリンパフェを食べていた
手が止まった。

「今まで私が何をして、
どうやってあなたを知ったのか
聞いてくれますか?」
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