虹色のバラが咲く場所は

5話 育成計画

「それじゃあ舞ちゃん育成計画、
始めよう」
日向さんの声に皆さんは頷いた。
「必要なことはさっきの6つ」

・学力
・歌唱力
・体力
・礼儀、マナー
・自己表現力
・精神力、向上心、
・忘れてはいけない笑顔
「それぞれがどれを担当するか」

拓也さんは破ったノートに6つを書き、
呟いた。
「というか、笑顔の特訓ってなんだ」
拓也さんは日向さんに向かって言った。

「アイドルたるもの、
ファンの人たちには笑顔で接さないと。
その練習」
日向さんはそう言い、
ファンサでやりそうな笑顔をした。
やっぱりアイドルなんだなと思う。

「じゃあ俺は体力」
「俺は礼儀、マナーを担当します。」
「俺は自己表現力かな」
「僕は歌唱力」
「俺は精神力、向上心」
「笑顔の担当は俺」
「俺は、」
「「「「「「お前は学力」」」」」」
「最後まで言わせてくれよ」
皆さんに遮りられた翔は不貞腐れた。

ノートには項目の横に名前が書かれて
・学力  翔
・歌唱力  優斗
・体力  陸
・礼儀、マナー  涼太
・自己表現力  司
・精神力、向上心  拓也
・忘れてはいけない笑顔  日向
となった。

今日はそれで解散となり、
皆さんは予約していたホテルへ 
出ていった。
もちろん、翔も。 

賑やかだった部屋は一気に静かになる。
「寂しい」
意図せず出た独り言に頭を振り
否定する。

テレビをつけ無音をかき消す。
目に入ったのはスキャンダルだ。
それもアイドルの。
(今、1番みたくないもの)

私はすぐにチャンネルを変え、
リモコンをテーブルに置き、
ソファに飛び込む。
急に眠気に襲われ私は目を閉じる。

目が覚めた時、外はもう真っ暗で時計の
針は8時を指している。
スマホを見ると沢山の通知が。
(皆さん、私のために動いて
くれているんだ。)
いつのまにかSTEPのグループに
私も組まれていた。

少しずつこなしていこう。
明日からまたがんばろ。

翌日の放課後から計画開始だ。
私はジャージに着替え、近くの公園へ。
学校終わりの時間で平日だからか
私しかいない。

陸さんからは
公園の隣のジョギングコースを  
内周3周、外周2周ランニングしろ
とだけトーク画面に書いてあった。

軽くストレッチしてから走り出す。
(走り出したはいいけど、持久力大丈夫かな)
前言撤回内周を3周したあたりでキツくなってきた。
だんだん息が不規則になり、
脇腹が痛くなる。
外周2周走り終わり、膝に手をつき
息を整える。
汗が止まらない。
(私、こんなに体力なかったっけ)

すぐに持参したタオルで汗を拭き、
スポーツドリンクを体に流し込む。
とりあえず陸さんからの課題は終了。

家に帰り、今日の宿題をする。
歴史のプリントに理科の問題集。
理科は問題なく進められたが、
(歴史、嫌いだなぁ)

武将とそれに関連する出来事を書く問題に頭を悩ませていると、通知音。
相手は翔、送られたリンクを開くと
バカでも分かる歴史、 

動画を見ると、武将と出来事の暗記方法が流れている。
(ピンポイント、)
若干引いてしまうが、なぜか嬉しい。

その動画の暗記方法通りに、
宿題を進める。
宿題を終えると、
もう夜の7時を回っていた。
土曜日に1週間まとめて作り冷凍して
おいたおかずを解凍し、食べる。

翔は皆さんと他愛ない話をしながら
食べてるんだろうな。 
対象にいつも1人で食べる私。

「私もアイドルになったら、この虚無感とか疎外感とかなくなるのかな」
そんなことを思っていると、
また通知音がなる。
(STEPの誰かからの課題かな。)

相手はSTEPではなく、
紗南からだった。
トーク画面を開くと
ちょっといい?
とだけ書いてあり、すぐに電話がきた。

「どうしたの、電話なんて」
「いや、特に用はなくて」
紗南の声はどこかよそよそしく
聞こえる。

「用ないなら切るけど」
「あ、待って待って。
今みんな用事があって、
家で1人なんだ。
だから、その寂しくて電話しちゃった」
電話越しの紗南の声に私は嬉しくなる

「仕方ないなぁ」
そう言いつつも、私は嬉しさでいっぱいだ。
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