隠していた想いを伝える時


歩いてすぐのアパートに着き、中に入ると槙田くんはすぐにタオルを用意してくれた。

思っていた以上に濡れていた私に、服を貸すからと脱衣室に案内してくれ、さらにシャワーも使っていいよと言ってくれたけれど、それはさすがに悪いと思って断った。


「じゃあここで着替えてね。濡れた服はここに入れてこのスイッチを押して。着替えが終わったら部屋においで」

乾燥機の使い方を説明すると、槙田くんは脱衣室から出ていった。


用意してくれたのは槙田くんのジャージ。素直に濡れた服を脱いで着替えることにした。

当たり前だけどサイズが大きかったし、下着まで濡れてしまって脱いだから、素肌に槙田くんの服を着るのは恥ずかしかった。

だけど、濡れた服を着ているよりずっといい。


着替えを終えて部屋に行くと、槙田くんはキッチンにいてマグカップを2つ持っていた。

「ちょっとサイズが大きいね。ごめんね」

「ううん…。服、貸してくれてありがとう」

サイズが合っていないブカブカのジャージ姿の私を見て、槙田くんは少し笑っていた。

そんな槙田くんの服を着ていることがなんだか恥ずかしくて目を合わせられなくて、少し俯き気味にお礼を言った。


「コーヒーいれるから一緒に飲もうよ。よかったらソファに座って待ってて」

私はその言葉に頷いてソファに座る。

男の人の家に来ること自体が初めてのことで、ソファに座るのもドキドキした。

槙田くんってたしか一人暮らしだったよね…。

そんなことを意識すると、部屋に二人きりという状況に緊張してしまった。





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