年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~



文句を言いたい気持ちがヒシヒシと伝わってきた。しかし、それよりも先に私がお義母さんのプロデュースしたブランドのドレスを着ていないことに気づいたようだった。

「へぇ、マイルス・モートのドレス?あなたにはまだ早いんじゃなくて?」

きっと何か言ってくると思ってた。
この人は私のすること全てに文句を付けたいんだろう。

でももう傷つかない。
私は今後園城さんのお義母さんと付き合っていく必要のない人間だ。そう考えると重たい楔が外れたかのように気持ちが楽になった。

「ドレスが子どもっぽく見えるわ」

好き勝手言えばいい。
もうあなたの言葉でいちいち傷ついたりしない。

「ドレスは着る相手を選ぶわ。このブランドはあなたのものじゃないって言ってるようね」

くすくすとバカにしたように笑うお義母さん。いつもならぎゅっと手を握りしめて耐えているだろう。

でも、今私の中で何かが吹っ切れた。

ふっ、と笑みが溢れてくる。
怖くはなかった。

「このドレスは悟さんが選んで下さったんです。"いつも着ているドレスよりも"似合うって悟さんは言ってくれました。とてもお気に入りのドレスです」

ニッコリと笑顔を作って伝えると、お義母さんは目を見開いた後、ワナワナと身体を震わせた。

まさか私が反抗してくるとは、夢にも思わなかったんだろう。

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