クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「たくさん好きって言ったらもったいない気がするし、ほどほどにしようね」

 心の平穏を守るために言うと、透哉さんは顔を隠していた私の手をどけた。

 長い指で顎を持ち上げられ、唇を軽くついばまれる。

「好きだ」

「今、私が言った事を聞いてなかったの……!?」

 く、と透哉さんが喉を鳴らして楽しそうに笑い出す。

 やっぱり私はもうだめかもしれない。彼の笑顔を見ただけで鼓動が速くなるし、苦しいくらい胸が疼くし、キスのお返しをしたくてたまらなくなっている。

 こんな結婚生活が約束の一年より、もっと先まで続くなんて!

 幸せな未来を与えてくれた透哉さんへ、『好き』のひと言の代わりにキスを贈った。
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