クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 あなたの意外な一面を見た気がする、と言おうかと思ったけれど、やめておく。

 その代わりに、ついさっき式で彼と触れ合わせた唇に指を滑らせた。



 車に一時間ほど揺られた先で、私は再び信じられない思いを味わった。

「ドレスは中に着替える場所がある。乗ってくれ」

 そう言いながら彼が足を進めたのは、小型のジェット機だ。

「もしかして、これで旅行に……?」

「そうだが?」

 そういえばこの人は氷室グループの御曹司なのだった。

 自家用ジェットくらい、持っていて当然なのかもしれない。住む世界が違いすぎて、眩暈がしたのは内緒にする。

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