激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい～契約結婚なのに溺愛で満たされました～

　そのあとも私から目をそらし避け続けてきたのに。

「どうしていまさら謝るの……？」
「日菜子がアメリカに行く前に、ちゃんと話したかった。俺は日菜子のことが今でも好きだ」
「なに言ってるの？　康介には野口さんがいるでしょう？」

　意味がわからない。あんなに私を傷つけておいて、どうして好きだなんて言えるんだろう。

「あいつとはすぐに別れた。っていうか、別に野口のことなんて好きでも何でもない。魔が差しただけなんだ」

　康介と野口さんが別れたという噂は聞いていたけど、本当だったんだ。
　でもどちらだったとしても、私にはもう関係のない話だ。

「あいつわがままでさ、一緒にいても疲れるんだよ。だけど、日菜子といると癒された。お前がどれだけいい女か気づいたんだよ」
「都合のいいことを言わないで。私といても退屈だって言ったのを忘れたの？」
「あれは、俺が漏らした愚痴を、野口が話を大きくしただけだ。わかるだろ？　かっこつけて彼女を悪くいっちゃうのが男なんだよ」

　男なら自分の恋人をけなしても許されると言いたいんだろうか。
　そんなの、納得できるわけがない。