激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 そういえば各国の大臣が集まり経済について話し合う会議が、日本で開催されるとニュースで見た覚えがある。

「公使が担当する予定だったんだが、直前で体調を崩したんで急遽代理で俺が来た」
「教えてくれればよかったのに」

 酔いもあってちょっとすねながら亮一さんを睨む。

「かなり過密なスケジュールだし、日菜子は今日送別会だろ。俺が帰国していると知ったら気を使わせるかもしれないと思って、連絡するのをためらった」

 亮一さんらしい気づかいだ。

「じゃあどうしてここに来てくれたんですか?」

 首をかしげると、「電話をくれただろ?」と言われた。

「え?」

 驚いて自分のスマホを見る。
 メッセージアプリの画面に、私から彼へ電話をかけた履歴が残っていた。

 亮一さんにメッセージを送ろうか迷っているときに、突然康介が現れた。
 驚いて画面をタップしてしまったんだろう。

「日菜子から着信がきて電話に出たら、男と言い争う声が聞こえた。元カレと話しているんだと気づいて、慌てて駆けつけたんだ」
「そうだったんですね……。ご迷惑をおかけしてすみません」
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