激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 自分の置かれた状況に気づいた私はパニックに陥る。

 朝起きたら亮一さんとホテルにいて、私は下着姿って……。それって、もしかして……!

 ひとりで焦る私を見て、亮一さんは冷静に言った。

「傷ついて泣いている女の子を強引に抱く趣味はないから、安心していい。雨に打たれて濡れた服のまま寝かせるわけにはいかないから、ワンピースは脱がしてクリーニングに出したけど」
「……じゃ、じゃあ昨夜はなにもなかったってことですか?」

 困惑しながら問いかける。

 亮一さんはくすりと笑い、「なにもなくて残念だった?」とちょっと意地悪な視線をこちらに向けた。

  私は慌てて首を左右に大きく振る。

「そんなに必死に否定しなくてもいいだろ」

 必死な私を見て亮一さんが苦笑した。

「いえ、あの。寝ぼけて混乱していただけで、亮一さんが私なんかと間違いを起こすわけがないって、ちゃんとわかってますから!」
「私なんか?」
「亮一さんにとって私は、友達の妹で家族同然ですもんね」

 一瞬でもなにかあったんじゃないかと疑ってしまった自分が恥ずかしい。

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