激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「どこにですか?」
「ここに」

 ここにいるのは、私と亮一さんだけだ。
 それなのに結婚相手がここにいるなんて。
 一体なにを言っているんだろう。

 私が不思議に思っていると、亮一さんが苦笑した。

「こんなにはっきり口説いているのに、鈍感だな」
「口説く……?」
「だから、俺と結婚しようと言っているんだ」
「へ……っ?」

 予想外すぎる発言に、声が上ずった。
 目を丸くして亮一さんの整った顔を凝視する。

「それとも、俺が結婚相手じゃ不満か?」
「ふ、不満なんて……」

 亮一さんに不満があるわけがない。

 だって、亮一さんは超エリートの外交官で、優しくて頼りがいがあって紳士で、しかもこの外見。
 欠点が見つけられないどころか、どこをとっても百点満点のハイスペックな男の人だ。

「よかった。じゃあ結婚しよう。さっそくこれから彰に挨拶に行くか」

 まるで天気がいいから散歩に行こうと提案するような気軽さで話を進める。

 私は頭が混乱していてまったく理解できなかった。

「ま、待ってください! そんなことしたら彼女が怒るんじゃ……」
「彼女って、誰の?」
「亮一さんのですよ」
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