激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「まぁ、アメリカで暮らすって言っても二年間だしな。ホームシックになったらすぐに帰ってくればいいし、俺の顔を見たくなったら飛んでいってやるからいつでも電話しろよ」

 相変わらず過保護な兄に苦笑する。

「それにしても、高校のときから亮一のことを知ってるけど、あんなやつだったとは意外だな」

 兄は思い出したようにそうもらした。

「意外って?」
「亮一は昔から女にもてたけど、あいつは彼女ができてもいつも冷静で、絶対に人前でいちゃついたり甘い言葉を言ったりしないタイプだったから。日菜子をあんなに溺愛しているのに驚いた」
「それは……」と口ごもる。

 それは私たちの間に恋愛感情がなく、契約結婚だからだ。

 周りの人たちを納得させるために、仲のよさをアピールしなければならない。
 だから亮一さんは演技をしているだけだ。

「まぁ、こんなにかわいい日菜子を妻にできたんだから、浮かれる気持ちもわかるけどな」

 胸を張り自信満々でそう言う兄を見て脱力する。

「ほんと兄バカすぎ……」
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