極甘恋愛短編集
帰宅するための言い訳を遮るようにグゥゥゥと音がした。


ん?


今の音はなに?


またキョロキョロと視線をさまよわせていると、目の前の男の子が青ざめた顔でお腹を抑えている。


まさかさっきの音、この子のお腹?


顔色も悪いしただ事じゃない!


「大丈夫? 具合が悪いの?」


「ううん。そうじゃなくて……」


左右に首を振ったとき、その場にずるずると座り込んでしまった。


もう一歩も動けないというように玄関のドアに体を預けている。


「な、なに!?」


「お腹、減った……」


男の子は今にも泣き出してしまいそうな顔でそういったのだった。
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