極甘恋愛短編集
それが必死の叫びに聞こえたんだ。


『行かないで。僕が起きるまでここにいて』


父親が出ていったときの辛い記憶が、眠っている間に行動に出てしまったんだろう。


「目が冷めた時すごく安心したんだ」


そのときの徹の表情は柔らかくて、心からの言葉だということがわかった。


私は少し気恥ずかしくなって通るから視線をそらした。


そしてまた満点の星空を見上げる。


「明日はなにが食べたい?」


聞くと隣で徹が笑顔になるのがわかった。


「オムライス!」


無邪気に答える徹に「わかった」と頷く私。


その手は自然と握られていて、いつの間にかふたりの体温がひとつになっていたのだった。
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