囚われのシンデレラ【完結】
翌日、柊ちゃんからメッセージが届いた。
【昨日は言い過ぎた。あずさの気持ちは分かった。でも、何かあったらいつでも言え】
スマホを見つめてふっと表情が緩む。
よほど私のことが危なっかしく見えるのだろう。柊ちゃんの言うように、これまでの20年、恋の『こ』の字もない人生を送って来たのを、まさに隣で見ていたのは柊ちゃんで。
心配させてしまうのも無理はないのかもしれない。
【ありがとう。でも、これからはもっと自分のことを心配してください】
そう返信したら、間髪入れずに【うるせーバカ】と返って来た。
そんな返信にムッとしていると、新たなメッセージを受信した。
西園寺さんだ――。
ディスプレイにその名前が表示されただけで、意味もなく姿勢を正してしまう。
【昨日はありがとう。ラッキーなことに今日は木曜日だ。いつものように、コンビニの前で待ってる】
また、今日も会える――って、でも、昨日の今日で、西園寺さんは疲れないだろうか――。
飛び上がって喜びそうになった表情を寸止める。
【こちらこそ、ありがとうございました。昨日も家まで送ってもらったのに、二日連続では申し訳ないです。無理はしないでください】
いくらドライブが好きだと言っても、疲れているに決まっている。
ここは、ちゃんと気遣わないと、彼女失格だ――って。
彼女……で、いいんだよね。西園寺さんの恋人になったんだよね……?
つい自問自答してしまう。そんな私の手の中にあるスマホが再び振動した。
【俺の楽しみを奪わないでくれ】
――楽しみ。
俺の楽しみ。そう思ってくれている――。
「あずさ。何、ニヤニヤしてんの」
「え……っ」
現れたのは、奏音だった。
「一人でスマホ見ながら、気持ち悪いよ?」
「人の顔見て、気持ち悪いはないんじゃない? お昼食べてただけですー」
ここが大学のラウンジだということをすっかり忘れていた。誤魔化すように、昼食のおにぎりをかき込む。そんな私の向いに奏音が座った。