ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
『なんだろうなあ…、わかりやすくてわがままで生意気で、中身が小学生から止まってるんじゃないかって思うときもあるけれど、』
親族だからこそ言える視点を展開されると、俺は気まぐれにも笑ってしまいそうになる。
『何事にも一生懸命で、嘘はぜったい言わない子だよ』
そうなんですか、と。
とくに気にも留めない素振りで返した。
俺は嘘ばかりなんだろう。
この病気を誰に話すこともできず。
どうせいつかはみんなに気持ち悪がられて、引かれて、避けられて、離れられる未来しか見えなくて。
格好わるくて情けなくて、そんな惨めでダサい姿を親にも見せていくんだ。
『っ、』
ガタッ───!
『千隼…!!』
勢いよく立ち上がって、気づけば診察室を飛び出していた。
広すぎる大学病院も抜け出して、鬱陶しい青空の下、キャップを深く被ってがむしゃらに走る。
『はっ…、は…っ!』
俺は、走れる。
ほら、こんなに走れてるよ。
俺の身体は俺のものなんだ。
俺が動かそうとすれば動くし、止めようとすれば止まる。
『っ───!』
ガクンッと、下半身が一気に重くなって脱力したように力が入らなくなる。