ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「それと、隣なら手が繋げるから」
「っ、…うんっ!」
私たちを見る生徒、見ないようにしてくれている生徒、ヒソヒソと噂を立てる生徒。
学校だけじゃなく町を歩いても同じような目が送られる。
人は、“自分とは違う”というものに、敏感すぎる生き物だ。
「ふたりとも、今日もお疲れさま」
「あっ、千隼くんのお母さん!こんにちは!」
校門を出ると、決まった場所に停められている普通車から出迎えてくれる女性。
私たちの姿を目にして朗らかに微笑んでくれていた。
「母さん、今日ちょっと李衣と寄り道したい場所があるんだけど…」
すると千隼くんは、私の手を離さないまま口を開く。
きょとんとするお母さんと私。
先に表情を和らげたのはお母さんのほうだった。
「じゃあそこまで送ってくわ」
「うん、ありがとう」
「青石さんも乗って乗って。帰りもお家まで送るから」
「えっ、あっ、お願いします…!」
寄り道したい場所ってどこなんだろう…?
私もいま初めて知らされたことだから、千隼くんの目的地はまったく想像できない。