ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
だけど、喉を切開だなんて。
じゃあその先に、そうした先に、100%で彼を救うことが約束できるってことだよね…?
「親御さんの承諾は得ている。明日、手術に取りかかる予定だ」
ちがう、そんなことを聞いているんじゃない。
千隼くんは…?
千隼くんの意思はまだ聞いていないはずだ。
彼は付き合った当初から自分で自分に“情けない”だとか“ダサい”とか言って、そうなることに怯えていて。
誰かの手を借りることをギリギリまで嫌がるような男の子だったの。
「そんなの…、千隼くんは望んでないよ、」
「なら、お前は浅倉くんに助けは乞うなと言っていることになるぞ李衣」
「ち、ちがう…!!」
そうじゃない。
喉を切開して、人工呼吸器を取り付けて、そのうえでも救えませんでしたってことにはされたくないだけだ。
彼をそこまでにするんだから、さすがに一時的なもので済まされるはずがない。
“今だけ”救うんじゃなく、“ずっと”救えるものじゃないと駄目なの。
「このまま放っておけば、下手すると1ヵ月も持たないかもしれない。これが今できるベストな判断だ」
「だからそうじゃなくて…っ!!医者は、医者なら…っ、患者の命を救うことが仕事じゃないの……!!!」
叔父の胸ぐらを掴む勢いだった。
広いロビーに響く、私の取り乱した声。