ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




「おはよう」と言うと、当たり前のように「おはよう」が返ってくる。



些細なことで笑って、今日あった珍しい出来事を自慢げに話して。



手は繋げたらじゃなく、ぜったい繋ぐんだよ。

もし恥ずかしいなら、それすらからかうような笑顔に変えて。


今日の空のお話、道端で出会った野良猫のお話、新しくできたパン屋さんのお話。


お互いの好きなところ、尊敬しているところ、くすっと笑えてしまう武勇伝。



私たちが出会った教室、町、世界、ぜんぶを一緒に見ながら。


すべてが愛しく思えたら、どちらからともなくぎゅっと抱きしめあうの。



しあわせだね、うれしいね、あったかいね。



すきだよ、だいすき、世界でいちばん。



感じた気持ちを隠さず伝えあって、照れくさくなって、今度はちょっとだけ覗きこむようにしゃがみかけるんだ。


それだけでほら、また幸せな気持ちになれるから。


なのに「俺からじゃなくてごめん」なんて、君らしい言葉すら嬉しくなる。


「バイバイ」は寂しいから「またね」って言おう。



たとえ君の身体が思うように動かせなくなって。


情けなくてダサくてひどい姿だと、君自身が思ってしまったとしても。


それでも大丈夫なの。



だって─────、



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