甘くてこまる
✧︎ 糖度15%

「簡単にキスできそーな距離」



𓐍
𓏸




「なー、笹本さんって滅茶苦茶かわいくね?」

「だよな。彼氏とかいんのかなー……」

「いてもいなくても、狙うくらいならアリだと思うぜ」




なにやら廊下側の窓の外が騒がしい。


どうしたんだろ、と首を傾げるわたしとは正反対に、うみちゃんは窓を一瞥してにやにやし始める。




「せいら、大人気ー」

「へっ? わたしっ?」


「え。これだけ注目集めておいて、まさか気づいてないとか言う?」

「何のこと……?」

「わー、さーすがせいら。罪深い女だ」




うみちゃんが怪しい笑みをにたにた浮かべているので、さすがに眉をひそめると。




「視線、感じない? ほら、窓の外の野郎ども、あれみーんなせいらを見に来てるでしょ」

「……まさか」





芸能人じゃあるまいし。

郁じゃあるまいし。






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