甘くてこまる


「せいらが爆モテするせいで、私、大変だったんだからね。

笹本さんも一緒にマネージャーやらないのかって、どいつもこいつもしつこいんだから。

どうにかしてお近づきになりたいって、下心が見え見えなのよ」




げんなり、といった様子のうみちゃん。



うみちゃんはいくつか運動部を回ったのち、水泳部のマネージャーをすることにしたらしい。

うみちゃんによると「男は顔の強さより、筋肉の強さ」なんだそう。

上裸が見放題のサブスクだ!って言ってた。




そしてわたしは、迷いに迷った末に写真部に入ることに決めたの。


先輩たちが首から下げていた一眼レフが格好よかったから、なんて決め手は弱いけれど。


写真を撮ることにもともと興味もあったし、頑張ってみたいなって思って。





「笹本さん」

「っ、はいっ」





名前を呼ばれて、反射的に立ち上がる。

声がした方を振り返る。

教室の扉のそば、知らない男の子が立っていた。





「今、時間いい?」

「え……と」





妙に熱っぽい視線を受けながら、誰だろう、と考える。





< 45 / 82 >

この作品をシェア

pagetop