死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
* ── * ── *
エレノスは義理の弟となったヴァレリアン王子の兄・フェルナンドと庭園を歩いていた。
庭園は今が見頃の薔薇が咲き誇っており、風が優しい香りを運んでくる。あと半月もしたら冬が訪れ、それを越えたら大好きな春がやってくる。そうしたら家族で毎年恒例の花見をするのがエレノスの何よりの楽しみであった。
二人は互いの国の特産品や観光名所など当たり障りのない話をしながら、南宮と皇宮の間にある温室へと向かうと、ガーデンテーブルを挟んで向かい合うように座った。
「──人払いをいたしました、フェルナンド殿下。私に内密なご相談とは?」
エレノスの優しい声に、フェルナンドはくしゃりと顔を歪めた。誰もいない場所で話がしたいと言われ、エレノスはフェルナンドをここに連れてきたのだった。
「エレノス閣下。私の思い、聞いてくださいますか」
「私で力になれるかは分かりませんが、話すことでそのお心が少しでも軽くなるのなら…お聞きしましょう」
フェルナンドの青い瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうで、縋るような眼差しを向けられながら両の手を掴まれたエレノスは、フェルナンドを安心させるべく微笑みかけた。
しばらくの間、フェルナンドは黙っていた。言いづらいことなのだろうとエレノスは察していたが、家族でもない自分に相談したいと思われているのなら、それに応えたいと思っていた。
「……弟君に関すること、ですか?」
その声で、フェルナンドの指先が微かに動く。それに気づいたエレノスは「やはり」と零すと、フェルナンドはぽろりと涙を落とし、信じられない言葉を放った。
「実は私は、二度目の人生を歩んでいるのです」
「………え…?」
エレノスは目を見開いた。
エレノスは義理の弟となったヴァレリアン王子の兄・フェルナンドと庭園を歩いていた。
庭園は今が見頃の薔薇が咲き誇っており、風が優しい香りを運んでくる。あと半月もしたら冬が訪れ、それを越えたら大好きな春がやってくる。そうしたら家族で毎年恒例の花見をするのがエレノスの何よりの楽しみであった。
二人は互いの国の特産品や観光名所など当たり障りのない話をしながら、南宮と皇宮の間にある温室へと向かうと、ガーデンテーブルを挟んで向かい合うように座った。
「──人払いをいたしました、フェルナンド殿下。私に内密なご相談とは?」
エレノスの優しい声に、フェルナンドはくしゃりと顔を歪めた。誰もいない場所で話がしたいと言われ、エレノスはフェルナンドをここに連れてきたのだった。
「エレノス閣下。私の思い、聞いてくださいますか」
「私で力になれるかは分かりませんが、話すことでそのお心が少しでも軽くなるのなら…お聞きしましょう」
フェルナンドの青い瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうで、縋るような眼差しを向けられながら両の手を掴まれたエレノスは、フェルナンドを安心させるべく微笑みかけた。
しばらくの間、フェルナンドは黙っていた。言いづらいことなのだろうとエレノスは察していたが、家族でもない自分に相談したいと思われているのなら、それに応えたいと思っていた。
「……弟君に関すること、ですか?」
その声で、フェルナンドの指先が微かに動く。それに気づいたエレノスは「やはり」と零すと、フェルナンドはぽろりと涙を落とし、信じられない言葉を放った。
「実は私は、二度目の人生を歩んでいるのです」
「………え…?」
エレノスは目を見開いた。