死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる

「いやぁ、これには理由がありまして」

「理由があることくらい分かっているわよ! 頭からつま先までヘンにこだわってた貴方が、すっとこどっこいな格好で来るんだもの! すぐに準備をさせるから、お湯に入りなさい!」

「そんなことはいいのです!僕はお祖母様に力を貸して頂きたく、ここに来たので!」

慌てふためくティターニアに向かって、ローレンスは膝をついて頭を下げた。急いできたのかローレンスは肩で息をしており、よく見たら手や首には擦り傷のようなものがある。

初めて見るその姿に更に驚いたティターニアは、大きく息を吐くとローレンスの肩をそっと叩き、立つよう促した。

「お立ちなさい。話はそれからよ」

ローレンスは節々の痛みに顔を顰めながら立つと、ティターニアの翠色の双眸を見つめながら口を開いた。

「──オルシェの国境に、三国とオルヴィシアラの合同軍が現れました。ジェラール家に援軍の要請と、お祖母様には兵を率いて頂きたいのです」

ティターニアは息をするように顔色を変えた。祖母の顔から、かつて剣の后と呼ばれた女の顔へ。

「イザーク!」

ティターニアはそう声を張り上げると、不思議な音の笛を吹いた。するとどこからやって来たのか、天井窓から一羽の白い鷹が舞い降りる。この鷹がイザークのようだ。

「ジェラール家には最速で伝令を送るわ」

ティターニアは侍女に紙とペンを持って来させると、すらすらと紙にペンを滑らせ、太皇太后の紋章印を押した。それを鷹の脚に括り付けると、また笛を鳴らして鷹を飛ばした。さっきとは違う吹き方だ。
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