死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
飛び立った鷹を見送ると、ティターニアは今一度ローレンスを上から下まで眺めた。

ローレンスが嘘を言っているようには見えないし、嘘を吐く人間ではない。だが信じられないのだ。平和を築くと約束した国々が攻め込んできているなど。

「見たところ、単身でここまで来たようね。一体何があったの?」

ローレンスは血が滲む勢いで唇を噛み締める。何から話すか、何から話すべきか。順を追う時間などないのに、この短期間で多くのことがありすぎた。

そんなローレンスの心中を察したのか、ティターニアは安心させるように優しく微笑みかける。

「お祖母様はいつでもいつまでも貴方の味方よ。だから話してごらんなさい、私の可愛い孫よ」

ローレンスは変わらぬ祖母の温かさに安堵したのか、自身が見てきたことを語っていった。

「僕はエレノス兄上に拉致され、王国の塔に軟禁されていました。暴力は振るわれていませんが、兄上は思い詰めた様子で……ルヴェルグ兄上に玉座を退いて頂く、と」

「そう。それで?」

「知人に救出され、城に戻る途中でオルシェと王国の国境で大軍を見たのです。それでジェラール家に援軍の要請と、お祖母様に出陣をお願いしたく思い、ここに参りました」

ティターニアはもう一度ローレンスを上から下まで見た後、紫色の瞳を見つめ返した。
< 315 / 340 >

この作品をシェア

pagetop