死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
「…父のじいさんは、王位を簒奪した人だったらしい。殺された王の曾孫が俺だから…俺が王になるべきなんだって、言われた」
「………リアン…」
「そんなの突然言われたって、どうしたらいいのか分からない。だったらどうして助けてくれなかったの?って思ったし、アイツが死んだ途端にこれだから、なんかもう疲れちゃって」
リアンは喋り疲れたのか、煽るように水を一杯喉に流し込むと、深いため息を吐いた。
重い話をしているというのに、聞いていたクローディアの口の端には笑みが滲んでいた。こんなふうに本音を話してもらえたのが嬉しいのだ。
クローディアはリアンの手に自分の手を重ね、顔を覗き込んだ。相も変わらず綺麗な青い瞳とぶつかる。
「リアンは、どうしたいの?」
「…分からない。王になりたいかと訊かれたら、なりたくなんてない。…だけど、王にならないといけないのなら、逃げるわけにはいかないなとも思う」
リアンは王家に苦しめられてきた。だが王家の人間がリアンだけとなった今、それを継ぐ者が自分しかいないのならば、その責任は自分が負うべきだと考えているようだ。
そんなリアンに、自分ができることは何だろうか。
その答えを分かっていたクローディアは、リアンに優しく微笑みかけた。
「……そばにいるわ。何があっても」
暗闇の中から引っ張り出すように、リアンの手を己の方へ引き寄せる。
はっとして顔を上げたリアンは、クローディアの言葉で答えを見つけたのか、泣きそうに微笑み返した。
「…なら、後悔のないようにしようと思う。これからを生きるあの国の人たちが、俺を王にと望んでくれるのなら」
リアンは嘘偽りのない口調で、決意を表した。誰よりも近くで聞いていたクローディアの目の奥は熱くなり、たちまち視界がぼやけていく。
今にも涙を溢しそうなクローディアを見て、リアンの瞳も潤んでいく。
それを隠すかのようにリアンは自分の両腕の中にクローディアを閉じ込めると、堪えきれずに泣き出したクローディアの頭を優しく撫でるのだった。