死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
再会の抱擁を交わした後、リアンは汗を流したいと言って浴場へ行った。それからほどなくして戻ってくると、ソファで座って待っていたクローディアの隣に腰を下ろした。
急いできたのか、髪はまだ濡れていて、ぽつぽつと水滴を落としている。それに気づいたクローディアはリアンが首に掛けているタオルをひったくるように取ると、わしゃわしゃと頭を拭いていった。
黄金色の髪が雫を纏わなくなった頃、リアンは思い詰めたような顔でクローディアを見ると、くしゃりと顔を歪めた。
「……ごめん。遅くなって」
クローディアは首を左右に振った。
最後にリアンと会ったのは、エレノスがフェルナンドを伴って城に帰還した日だ。クローディアはフェルナンドに人質に取られ、この南宮の庭へと連行されていた。
助けに来てくれたのは、遠い場所から来たアルメリアだ。
その時リアンは国境に現れた軍を止めるために王国へ赴いたと、翌朝ロイスチェラム国王を連れて戻ってきたと聞いている。
何と誇らしいことだろうとクローディアは思っていたが、リアンにとってはそうではないのか、沈んだ表情をしている。
「謝ることじゃないわ、リアン。リアンはリアンにしかできないことをしに行ったのでしょう?」
「……俺じゃない他の誰かでも出来たことだよ。むしろ、俺じゃなかったら、王のいない国になることはなかった」
リアンは絞り出すような声で告げると、苦しげな表情で俯いた。