【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


「花純……っ……!」

 泰裕さんの腰を振る動きが先ほどよりも早まっていく。

「んっ……んっ、ああっ」
 
 後ろから私を抱きしめるようにして抱いた後、泰裕さんはベッドの端に腰掛け、タバコを吸っている。

「あの、泰裕さん……」

 ベッドに横になり布団を被っている私に、泰裕さんは「風邪ひくから、早く服着ろよ」と言って寝室を出ていく。

「っ……」

 私は泰裕さんから、多分愛されていない。私を抱くのも気まぐれで、抱いた後はあんな風に冷たくなる。
 私は心が空っぽになっていて、ただ虚しくなるだけ。

「泰裕さん……」

 借金返済のために、泰裕さんと結婚した私は、泰裕さんに愛されることを望むことも許されない。
 泰裕さんは結婚する時、私に言ったから。

「花純、お前とは戸籍上夫婦だが、お前とは愛のない結婚だ。 だから俺を好きにならなくていいし、俺に好きになってもらうことも期待するな」と。

 それを聞いた時、この人はなんて残酷な人なんだろうと思った。
 俺を好きにならなくていいとか、好きになってもらうことも期待するなとか。言うことが冷酷すぎる。
 妻として迎え入れても、私はただ身体を重ねるだけの妻。キスはしてくれるけど、それもセックスの時だけ。
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