【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。
第四章 想い人

好きになってしまった人



 そう思ったその時……。

「あれ?お姉さん、一人?」

「こんなとこで何してるの?」

 近くにいた若い男性二人に声をかけられた。

「え?あ……」

「こんなとこにいないで、俺たちと一緒に遊ばない?」

「美味しい肉もあるよ?」

「え、あの、ちょっと……」
 
 どうしたら良いのか分からなくて、あたふたしていると、お兄さん二人に腕を掴まれる。

「いいじゃん、行こうよ!ね? どうせ一人なんでしょ?」

「あの、ちょっと……!放してください!」

 どうしよう……! そう思った、その時だった……。

「おい、俺の妻に何しているんだ」

 その言葉と同時に、私の腕がお兄さんたちから離れていく。

「……え?」

 そこにいたのは……。

「泰裕……さん?」

 泰裕さんだった。

「俺の妻に気安く触れるな。汚らわしい」

「なんだよ……人妻かよ!」

「俺の妻に手を出そうとするなんて、お前らには百年早いんだよ。 とっとと失せやがれ」

 泰裕さんのその言葉に怯んだお兄さんたちは、走って逃げていった。

「泰裕さん……なんで?」

 どうして……助けに来てくれたの? 私なんて、ただの政略結婚の妻なのに……。

「バカ野郎!」
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