【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


「ああ、頼む」

「はい」

 泰裕さんの背中を流すため、ボディタオルにボディウォッシュを湿らせ、泡立てていく。
 
「あの、洗いますね」

「ああ」
 
 泰裕さんの背中は大きくて、広い。 いつも私は、この背中にしがみついているんだ。
 
「力加減、大丈夫ですか?」

「ああ、ちょうどいい」

「……良かった」

 泰裕さんと夫婦になって早三ヶ月。私たち夫婦は、心が繋がっているのだろうか。
 繋がっているのは、身体だけなのではないか。……私は今、そう思っている。

「流しますね」

「ああ、頼む」

 でもそれでもいい。 愛してもらえなくても、身体だけでも繋がっていれば、それでいい。
 抱いてもらえないより、マシだ。そう思えば、この生活も少しだけ華やかに思える。

「お湯加減、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」

 泰裕さんの背中にそっと触れながら、私は背中を流してゆく。

「終わりました」

「ああ」

 シャワーを止めようとした瞬間、泰裕さんは後ろから抱きしめてくる。

「えっ? 泰裕……さん?」

「今からここでお前を抱くから」

「えっ……!?」

 私の両腕を掴むと、私を壁に押し付けて、唇を奪ってくる。

「んっ……っ、んっ」
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