総長さんは慰めたい。(短)




「ばかやろう!!」




そう怒鳴られたのは、私こと持田凛(もちだりん)。

暑い夏が終わりを告げ、これから秋がやって来そうな気配のする空を、優雅にトンボが飛んでいる、今日の良き日。

校門の前に立っていた私を睨みつけバカ呼ばわりした「その男」は、私の肩を大きな手で押して、たった今歩いてきた道を戻って行った。




「なにあれー」
「痴話げんか?」

「……」




ただ今、放課後。


校門の周りには、これから帰る生徒たちの姿が数えきれないほどいた。そして今の流れを一部始終、この場にいる、ほぼ全員の人が目撃しただろう――

この事実に恥ずかしさを感じない私は、変わり者とか、そんなんじゃない。


そんなんじゃなくて……




「(ヤバい、コンタクト落ちた……!)」



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