総長さんは慰めたい。(短)

総長さんの顔を思い出して、ふっと笑う。誘拐犯に連れ去れた時に「総長さんから早く逃げていれば巻き込まれなかったのに」って思ってたけど、違う。

すぐに総長さんから離れて帰路につかなかった理由――それは、面白かったからだ。


総長さんと話すのが、面白かったんだ。私は。だから離れられなかった。まあ無理もない。あんな奇天烈な人を前に興味を持つなって方が無理な話だ。




「カリスマって怖いですね」

「いきなり何の話だよ……」

「いえ、いくらバカな言動でも、いくらでも人が寄ってくる。そして、離れていかない。カリスマ性のある人は、常に皆の輪の中心にいる」

「……そうだな」


< 47 / 77 >

この作品をシェア

pagetop