総長さんは慰めたい。(短)
「ちょっと、嬉しいです」
「嬉しい?攫われて?」
「なわけ……!じゃなくて。総長さんに気にかけて貰えたのが、嬉しいんです」
「変な女」
「何とでも言ってください。いーんですよ。だって、もう会うこともないじゃないですか。総長さんとの良い思い出が出来ました」
「……」
今日こそ会えたけど、次はいつ会えるか分からない。ばかりか、次はもう会えないかもしれない――そう思ったら、ただ歩いているこの瞬間でさえ、ひどく貴重な時間に思えた。
「総長さん、助けてくれてありがとうございます。とっても嬉しかったです」
やっとお礼が言えてスッキリした。私は――だけど。
けれど、どうやら総長さんにとって気に触ることがあったらしい。今まで歩いていた足をピタリと止めて「ムカつく」と小さな声で吐き捨てた。