俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「忘れ物……?」

「見れば分かると思いますよ」

心音が頭にまで響く。

緊張と不安から手が震える。

忘れ物ってなに?

中身を確認するのが怖い。

でも、確認せずにはいられない。

そっと紙袋に手を伸ばし、膝の上まで持って行ってから中身を覗き込んだ。

「嘘……、これって……」

「旭さんがあの日パーティーで着ていたスーツとYシャツとネクタイです」

うれしそうな彼女の声が耳に届いた。

確かにこれは旭さんのものだ。何度かこれを着ているのを見たことがあるし、海外出張の際にスーツに入れているのを見た。

「彼ってば、途中で疲れて寝ちゃって。起きてから慌てて帰って行ったから、忘れたことに気づかなかったんでしょうね。まぁ、そんなおっちょこちょいでかわいい一面も、ギャップがあってかわいいですけどね」

勝ち誇ったような笑みを浮かべる彼女の前で、惨めな姿など見せたくないのに。

気づけば、頬を涙が伝っていた。

知ってしまった真実は、あまりに悲しく残酷で。

私の心は、到底それを受け入れることができそうにない。
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