俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
「これを見たらすべて理解できると思いますよ!」

莉緒さんに手渡された紙袋の中身を取りだして床に投げつけた。

「なんで、夏香がこれを……」

驚いたような旭さんの顔を見ていられなくてうつむいた。

「忘れ物だそうです。さっきわざわざご丁寧に莉緒さんが私のもとに届けに来たんです。パーティーの日も、朝まで莉緒さんと一緒にいたんですよね」

「はっ? ちょっと待てよ。俺はそんなこと……」

「触らないで! 言い訳も聞きたくありません!」

私の手を取ろうとした旭さんの腕を思いきり跳ねのけ、玄関に向かい出した

「夏香待てって。誤解だって。きちんと話をさせてく……」

「なにも聞きたくないし、旭さんと一緒にいたくもない。結婚なんかしなければよかった……」

「……なんだよ、それ」

宙で交わる視線。

どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?

私には分からない。

旭さんが考えていることも、気持ちも。

もともと住む世界が違う私たち。

冷静になって考えてみれば、交じり合うことなんてできやしなかったのかもしれない。

シンデレラの魔法は、いつか解けてしまうもの。

それが、たまたま今日だったってだけの話なんだ。

「……しばらくひとりになりたいです」

もうきっと、この場所には戻れない。

そんな気がした。
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