俺様御曹司はドン底OLを娶り愛でる~契約結婚だと思っていたのは私だけですか?~
小悪魔の策略
【小悪魔の策略】

「なんか夏香先輩、最近元気ないですね」

「そうかな?」

「だって浮かない顔してるし、溜め息ばかりついてますよ?」

一緒に昼休憩を取っていた砂羽ちゃんが、私の顔をじっと見つめる。

たった十日。いや、されど十日。

長い人生で言えば、ほんの一瞬なのだけれども、今の私にしたらとてつもなく長く感じている。

旭さんと離れていることが、こんなにも寂しいなんて自分でもびっくりだ。

離れてみて、改めて旭さんのことが大切なのだと実感している。

毎日、電話をくれるけど本当は直接目を見て話したい。

旭さんに触れたい。

あの逞しい腕で抱きしめてもらいたい。

私って、こんなにも欲深い人間だったんだ。

「なにかあったならいつでも相談に乗りますからね」

「ありがとう。とっても心強いよ」

旭さんのことをまだ砂羽ちゃんにも隠している状態だから、どこかで申し訳ない気持ちがあって胸が痛む。

旭さんが帰ってきたら公表することになっているけど、そしたら砂羽ちゃんから質問攻めにあいそうだな。

うれしいような、少し怖いような。

とにかく今は仕事に集中しなくては。
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