月夏の魔法

飛べない魔女

わたしは飛べない魔女だった。



 姉は立派な薬草園を持つ癒やしの魔女で、町の雑貨店に作った薬やお茶を置いてもらっている。しかもたちまち売り切れてしまうほどの人気ぶりだ。


それに比べてわたしは、アカデミーから最後の手紙を受け取った。


しかも朝一番、速達魔法で。



「夏の終わりまでに飛べなければ退学です。では健闘を祈ります。ブラウニー魔法長より……」



 正直まだ大丈夫だと思ってた。でも時は待ってくれないのだと、あらためて思い知らされる。


 母と父からも「あなたは魔女に向いてないから、普通に生きなさい」と再三言われていた事。



それでもわたしは、魔女になりたかった。
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