目の前の幸せから逃げないで

光毅は その夜も 私の部屋に 泊まった。

私が 光毅を 帰したくないと 思っていたから。


「夕食、何が 食べたい?」

「由紀乃さん、作ってくれるの?」

「お粥とか うどんじゃ 物足りないでしょう。」

「ううん。美味しかったよ。」

「もう 元気になったから。何でも 食べられるでしょう。」

「何でもいいよ、簡単な物で。俺も 手伝うから。」

「そうね…生姜焼きなら、すぐできるわ。」

冷蔵庫を覗いて 私が言うと 光毅も 立ち上がってくる。

一緒に 冷蔵庫を覗いて 私の腰に 抱き付く光毅。


「みつき。何しているの。」

「俺、発情期かもしれない…」

「はぁ…?」

「由紀乃さんに 近付くと 体が 反応しちゃって…」

私は 振り向いて 光毅を 抱き締める。

「ごはんは?」

「由紀乃さんが先…」


そのまま ソファで 私を 抱くなんて。

そんな 光毅の激しさに 私は 翻弄されていた。


その夜 何度目かの 光毅の愛で

私は 光毅から 絶頂感を与えられた。


光毅の行為は せっかちで。

お世辞にも 上手いとは 言えないのに。


正面から 思いを ぶつけられて。

迸るような 情熱に 引き込まれて。

気付いたら 私は 清原さんからも 得られなかった快感を 与えられていた。


「由紀乃さん…今の、何?」

果てた光毅は 私の体に 倒れ込んで聞く。

「私も…みつきと同じ…」

光毅と私が 平等になった瞬間。

それは 私に 衝撃的な感動を 与えた。









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