目の前の幸せから逃げないで

「どうして 子供服の販売なの?由紀乃って、そんなに 子供好きだった?」

私が 起業する内容を 説明すると

鈴香は 驚いて 聞き返した。

「ううん。子供なんて 全然 興味なかったわ。でも去年、妹に女の子が生まれて。可愛くてねぇ。それで私、姪には 可愛い洋服を 着せたいって すごく思ったの。」

「気持ちは わかるけど。それで、会社 辞めてまで 起業する?」

鈴香は 半笑いで言った。


「会社 辞めたい理由は、他にも あるけど。私も 鈴香と同じ…限界かなって 思ったし。」

私と清原さんのことを 知っている 鈴香は

それ以上 深くは 聞かなかった。

「何か 始めるなら、丁度良い時期よね?私達、今年で 30才だし。でも 子供服って 意外だったな。」


「私 今でも 子供全員に 興味があるわけじゃ ないのよ。姪だけ 特別なの。身内だから。それでね、みんな 身内の為なら 少し高くても 他の子と 違う服を 着せたいって 思うんじゃない?」

「そうね。身内は 特別だから。」

「親じゃ なくても。孫とか、甥姪とか。でも、日本で買える 子供服って 極端なのよ。ローコストか、大人顔負けの 高価な ハイブランドか。私ね、海外の おしゃれな子供服の、セレクトショップを 始めたいの。」

「ネット販売なら 初期費用は 抑えられるわね。いいかもしれないわ。」

「でしょう?万人受けは しなくても。こだわりがあって、ある程度 子供に お金を使える人の 目に留まれば。」

「そうね。ターゲットが 明確だと、商品のラインナップも 絞れるし。」


ショップ名を “SNOW BELL” に決めて

私達は 商品の買い付けに フランスへ向かった。







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