俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
「俺もお兄さんに同意見だ。
着物よく似合ってたよ。思わず見惚れた。」

「私、思うんですけど……翔さんもフィルターかかってませんか?」

ご飯を小皿に取り分けて翔さんに渡す。
「ありがとう。…フィルターって何?」

「兄も翔さんも、直ぐ私の事褒めてくれるんですけど、そんなに私、可愛くなんて無いと思います。」

「何に言ってるの?果穂はそこらのモデルに負けないくらい可愛いし、綺麗だ。」
信じられないと言う顔でこちらを見てくる。

翔さんも、私が届かない所にある食べ物を小皿に取り分け渡してくれる。

「ありがとうございます。」
うちの男達には無い気遣いに驚きながら、有り難く頂く。
二人ソファに座って食べながら話を続ける。

「フィルターって何?」

「2人にだけは何故か可愛く見えちゃうフィルターです。」
真顔で言う。

私を見て翔さんが笑う。

「何でそんなに自己評価が低いのか分からないが…。まぁ、でもそれが果穂らしいのかもな。」

「小学生の時、近所の男の子達にブスブスって言われて泣かされました。」

「まぁ、馬鹿なガキは好きな子を虐めたくなるって、心理は分からなくもない。」

「だから未だに男の人は苦手です。」

「俺をその馬鹿なガキと同じにされたら、心外だな。」

「翔さんは優しいからそんな事ありませんけど。」
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