俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
いつの間にかデザートが運ばれて来て、ウェイターさんが、好きな種類を好きな大きさで取り分けてくれる。

こんな贅沢な食べ方、初めてでびっくりする。
翔さんはコーヒーだけ飲んでいる。

「明日の予定は?直ぐには帰らないんだろ?」

「明日は午後から妹と、カフェ巡りやお買い物をしようって話ししています。だから朝はのんびりです。」

「じゃあ、午前中の時間は俺にくれるか?」

「翔さんも、たまにはのんびり休んだ方が良いと思いますけど…。」
毎日遅くまで働いていて心配になる。

「俺は低エネルギーで生きてるから大丈夫なんだよ。それよりも、せっかく果穂が近くに居るのに、会わないなんて勿体無いだろ?」

どうしてそんなに?って思ってしまうけど、深くは聞かない事にする。

「東京でどこか行きたい所は?」

「えーっと、スカイツリーとか……水族館とか行ってみたいです。」

「うちから近いなそこなら歩いて行けるから両方行こう。」

「本当ですか?実は、1人で行って見ようと思ってたんですけど…」
バックから雑誌を取り出し、付箋の貼ってあるページを見せる。

「これって…。」
翔さんは、嫌そうな顔をして雑誌をパラパラ巡る。

「まさか翔さんが載ってたなんて…気付いた時は驚きました…。」

私が持って来た雑誌には、噂のイケメンオーナー特集に翔さんの写真が載っていた。

これは翔さんに会う前に、友達と東京に行きたいと盛り上がって買ったものだったから、気付いた時はびっくりした。

「俺は嫌だったんだ、顔出しなんて…。」
本当に嫌そうな顔をする。

「モデルさんみたいにかっこよかったです。」
だけど…私とは違う世界の人なんだと実感して、少し寂しくなった。

その人が今、目の前にいる…。

そのうえ、明日一緒に東京観光に行ってくれると言うのだ。

「貴重な時間をありがとうございます。
スカイツリーまで電車で行きますね。どこかで待ち合わせしましょ。」

そんな人がわざわざ、私のために貴重な時間を割いてくれるんだから、沈んでたら勿体無いと、気持ちを無理矢理あげる。
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