俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
「私と貴方では、不釣り合いだと思います。私なんかよりもっと…近くに居る人が良いと思います…。
翔さんには生活を支えられるような、
しっかりした大人の女人が…合ってると思います…。」
言いながら泣きそうになり俯きながら話す。

「ちょっと、待て。
俺は今、振られそうって事?…返事は直ぐに要らない。
果穂のペースで考えてくれればいい。ただ、俺の事本気で考えて欲しい。」

翔さんはそう言って、車を走らせる。

「果穂と一緒に居られるだけで隣で笑ってくれるだけで、ただ嬉しいんだ。
確かに、物理的な距離はどうにかしたいし、どうにかなるように今、探ってるとこだ。」

翔さんの顔を思わず見る。
運転しながらも一瞬目線が絡まる。

「理屈じゃ無く、心が求めてるんだ。
君じゃなきゃダメだって、果穂が誰よりも何よりも大切で、愛おしい。」
翔さんはどんな時だって、顔色一つ変えず冷静で落ち着いて見える。

だけど、この人はいつだって本気だ。

会った時からずっと、同じ熱い目で私を見ている。目を背けようとしてたのは、私だ。

分かっていない振りをして怖がって、怖気付いてたのは私だけ。

住む場所も、歳も、身分も、生き方も、全部違うけど。
だけど翔さんは全部分かって、乗り越えたいと言ってくれてる。

逃げてちゃダメだって…心が言っている。
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